メカニズム

生体に作用する3つのメカニズム

1.好気的エネルギー産生の活性化

生体のエネルギー通貨はATP(アデノシン三リン酸)と呼ばれ、細胞中のエネルギー産生工場であるミトコンドリア(細胞内小器官)で、赤血球によって運ばれてきた酸素と食事によって得られた養分から作られます。酸素を燃やして行うこのようなエネルギー産生を、“(空)気が好き”と書いて好気的エネルギー産生と呼びます。
こうして作られたATPの実に75%が、体温を維持するのに使われているのです。

  • 体温を維持するのはミトコンドリアで作られるエネルギー(ATP)

ですから、ストレスなどで血流が悪くなって酸素の運搬が滞り、エネルギー代謝が下がってATPが不足すると、体温が下がってきます。体温が下がると、心臓や脳など核心部の体温を維持しようとして、核心部から遠い末梢の血管は熱を逃がさないように収縮してしまうため、「冷え」を感じるようになります。血流はますます悪くなり、こうしてエネルギー代謝不全の悪循環に陥っていくのです。

「冷え」を改善して病気に負けない体を作るために、いちばん簡単にできてしかもいちばん有効なのは、外から全身をまんべんなく温めて体温を上げることです。

適度に体を温めることで、血管が拡張して血流が平均5倍に増加することで、溜まった老廃物の排出が促され、細胞のエネルギー合成に必要な酸素と栄養の運搬が盛んになります。体内での生化学反応は、マイルドな発熱範囲であれば体温が高いほど活発になり、エネルギー産生も向上します。
外から熱エネルギーを与えて発熱範囲で体を温めることを繰り返すと、エネルギー工場であるミトコンドリアの数が増えて、自分で十分な熱エネルギーを作れるようになり、代謝活性の高い状態を維持できる体になってくることが期待できるのです。

ソアラシステムは万病の元である冷えを改善することで、病気に負けない体作りを応援します。

  • 血流量の増加
  • 体温と血液ガスの変化

2.体内調節系(自律神経、内分泌、免疫)への刺激

私たちの体内では、自律神経系、内分泌系、そして免疫系が、1日24時間、交互に作用しあって生命活動を支えています。体を温めることが、これらの機能に関わる多くのパラメータを同時に刺激することが実証されています。

自律神経系

血流は、自律神経2系統(活動モードの交感神経と休息モードの副交感神経)によって血管を収縮させたり拡張させたりすることで調節されていますから、自律神経のかたよりが結果として「冷え」を招いている、ともいえます。ソアラシステムは自律神経系に温熱刺激を与え、必要に応じて交感神経と副交感神経のスイッチが速やかに切り替わるようにトレーニングすることで、自律神経のかたよりを調整します。

自律神経系にかたよりが生じると、血流が乱れ、身体的、精神的に様々な不快症状をもたらしますが、その影響は代謝や免疫系にも影響して、慢性炎症性疾患や神経変性疾患、あるいはがん化を招く原因になることがあります。

  • 熱を運ぶ血管と血管を支配する自律神経
  • 自律神経の調整
    ✳上記のグラフは自社調べ(APGハートレーター使用)

内分泌系

全身を浸漬加温することにより、視床下部の視索前野に位置する体温調節中枢が皮膚温と深部体温の変化を感知し、温ニューロンが反応すると、下垂体前葉のホルモン産生細胞から、温度感受性の成長ホルモンや副腎皮質刺激ホルモン等が分泌されます。成長ホルモンの分泌は、代謝を活性化し、細胞の修復再生を促します。また、副腎皮質刺激ホルモンは体内ステロイドとして作用し、アトピーやアレルギー等、異常な免疫反応を鎮静化すると考えられています。

  • 内分泌刺激
    参考文献:Tomiyama-Miyaji C, et al., Modulation of the endocrine and immune systems by well-controlled hyperthermia equipment. Biomedical Research, 2007 ,28(3),119-125

免疫系

免疫細胞を活性化し、数を増やすことにより、異物を排除する能力を高め、健康維持を助けます。また、免疫を司る白血球には大きく分けて、リンパ球、顆粒球、単球があり、これらのバランスは自律神経に左右されるといわれています。がんやウイルスに対抗するリンパ球は副交感神経の支配を、炎症に関わる顆粒球は交感神経の支配を受けており、特にがん患者さんでは顆粒球に比べてリンパ球が少ないことが知られていますが、逆にリンパ球が多すぎてもアレルギーや自己免疫疾患などの病気を招きやすく、白血球バランスを正常に維持することが何より大切になります。
ソアラシステムは、短期的にはリンパ節や腸の中のリンパ組織から血液中へのリンパ球の動員を導き、長期的にはリンパ球と顆粒球のバランスを整え、細胞の質をよくしてくれます。

  • 免疫の増強

3.HSP(ヒートショックプロテイン)の産生

HSPはHeat shock proteinの略で、熱ショックタンパク質と呼ばれる分子シャペロンの仲間です。“シャペロン”とは、社交界にデビューする若い貴婦人に付き添う介添え役の意味で、分子シャペロンであるHSPの役割は、酸化によるタンパク質の変性を防いだり、新しく合成されるタンパク質の立体構造の構築(フォールディング)を介助したり、また、いらなくなったタンパク質の分解に関わったりして、タンパク質の一生にわたってかいがいしくそのお世話をすることにあります。

HSPは、熱の他にも種々の環境ストレスによって細胞内に産生されることが知られていますが、最も安全で効率的なストレスが“熱”なのです。ソアラシステムで+2℃の体温上昇を誘導することで、あらゆる組織でHSPが増えることを確認しています。がんのブレーキ役として働くp53のようながん抑制タンパク質も、HSP存在下で正常に機能することが知られています。

さらにHSPには、免疫増強作用もあるのです。がん細胞はもともと自分の細胞なので免疫細胞が異物と認識しにくい場合がありますが、熱によって細胞内に産生されるHSPは細胞膜上にある個体識別のためのMHC(主要組織適合性抗原複合体)を介してがん細胞膜表面に異常細胞であることを示す特異的タンパク質の断片(抗原)を提示します。すると、免疫細胞は提示された抗原を異物と認識し、がん細胞を効率よく攻撃することができるようになると考えられています。加えて、攻撃側のリンパ球や樹状細胞中に誘導されたHSPも、それぞれのMHCの発現を増大させ、白血球の腫瘍エリアへの動員と内皮細胞への吸着を誘導して免疫増強をもたらすことが知られています。

  • HSPの発現